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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム/脂肪の代謝2ー乳脂肪の合成(3)

脂肪と油糧種子
 大豆や綿実は油を含みます(18~23%)が、単純に油を添加したときのような悪影響を起こすことは通常ありません。これは反すうや消化の間に種子からゆっくりと油が放出されるために、ルーメン内の油の濃度が高くなりすぎないこと、そのために、より完全に不飽和脂肪酸が水素添加されることから乳脂肪の低下が起きないと説明できます。

 しかしながら、油糧種子(大豆、ナタネ、アマニ、など)を給与する場合でもエクストルード加工されたものは注意が必要です。エクストルード加工により脂肪細胞は破壊され、脂肪がルーメンで早く利用されやすくなっています。また、エクストルード加工された油糧種子はCLAの合成を増やし、過剰な給与は乳脂肪の低下を起こしやすくなります。

酪農コラム/脂肪の代謝2ー乳脂肪の合成(3)

現場での事例
 実際には、乳脂肪の低下は暑い夏の時期以外にも頻繁に発生しています。乳牛の遺伝的能力に合わせようと努力するあまり、栄養上もしくは管理上の問題が発生し、ルーメン代謝のバランスをくずすことにつながっています。ひとつ、もしくは複数の原因による適切でないルーメン代謝が乳牛の体内の様々な化学反応につながり、乳代による収益ロスや不必要な飼料やサプリメントに無駄なお金を使う結果となっています。

 製麺屑を給与していた牧場や、ポップコーン工場の副産物を給与していた別の牧場(どちらもTMR給与)で深刻な乳脂肪の低下が発生したのを見たことがあります。これらの副産物は非常に油(不飽和脂肪酸)を多く含み、これがルーメン発酵を阻害し、乳脂肪の合成を阻害したと考えられます。これらの牧場では乳脂肪が3.2%以下に低下しました。給与メニューを見直し、これらの副産物を止めたところ、乳脂肪は回復しました。

 低水分TMR(水分25%以下)は選び食いが増え、その結果、乳脂肪が低下することがあります。この場合、選び食いの問題を解決できる程度にTMRの水分を増やすことで乳脂肪を改善することができます。

 乾物摂取量を増やそうとして粗飼料を細かくしすぎている牧場を見かけることも多くありますが、乳牛のアシドーシス傾向が強まり、乳脂肪低下につながる要因となります。

 多くの牧場の乳脂肪の低下事例とその改善プロセスから、シンプルで基本的なステップを導き出せます。すなわち、粗飼料と濃厚飼料の適切なバランスです。もし、ある牧場で季節に関わらず一定の間隔で乳脂肪の低下を繰り返す場合には、飼料給与戦略を見直しルーメン発酵の基本に立ち返って考え直すことをアドバイスします。市場に出回っているおびただしい種類のサプリメント類に頼りすぎるのでは長期的な問題解決にはつながりません。

酪農コラム/脂肪の代謝2ー乳脂肪の合成(3)

(おわり)