酪農/搾乳ロボット(Lely)の給餌設定について
コラム
今回は搾乳ロボット(Lely)の給餌設定についてです。
皆さんは給餌の設定は、見たことありますか?設定を確認したことが無い方は是非、酪農コラムに掲載した搾乳ロボット(Lely)の搾乳・給餌設定を確認する方法を参照してください。
【参考記事】
酪農/搾乳ロボット(Lely)の搾乳・給餌設定を確認する方法
http://taiseishiryo.jp/tp_detail.php?id=152
搾乳ロボットの給餌設定は、初産牛、2産目以上の経産牛、トレーニング等のグループごとに設定することができます。
※トレーニングというグループは、全頭一律4㎏/日の配合飼料を給与される設定です。
各グループの詳細な設定を見たい時には、グループ名をクリックすると、下の画像のようにどのような設定になっているのか簡単に確認できます。
搾乳ロボットでは、泌乳期に応じた給餌設定(泌乳期連動テーブル)と乳量に応じた給餌設定(乳量連動テーブル)の2つを組み合わせて給餌設定をすることが出来ます。画像の中では、①と③が泌乳期に応じた給与設定、②が乳量に応じた給与設定になっています。
Lelyの推奨設定では、
・分娩日~泌乳ピークまで:泌乳期連動テーブルを用いて段階的にロボットからの給餌量を増加
・泌乳ピーク~分娩後60日:泌乳期連動テーブルを用いて一定量の配合を給餌
・分娩後60日~乾乳前14日:乳量連動テーブルを用いて、各個体の乳量に応じた給餌
・乾乳前14日~乾乳まで:泌乳期連動テーブルを用いて給餌
とされています。
給餌量は、泌乳期連動テーブルと乳量連動テーブルどちらも2~8㎏/日が推奨されています。
以前、ノーサンファームの給餌設定は、分娩後40日で泌乳期連動テーブルから乳量連動テーブルに切り替わるようにしていました。その時のロボットパフォーマンスは以下のような特徴的な反応がありました。
・分娩後40日以降から泌乳量が漸減している
・分娩後40日以降からリフューズ回数の増加
これらの反応の対策として以下の2つの設定変更を試みました。
【設定変更①】
分娩後40日以降の日乳量の漸減やリフューズ回数の増加は、エネルギー不足によるものであり、牛自体もエネルギーが欲しくなり、ロボットから排出される配合を求めてリフューズ回数が多くなっているのでは?と考え、給餌設定の変更時期を分娩後40日から分娩後60日に変更してみました。
結果は、
・分娩後40日以降の乳量減少は解消
・分娩後40日以降のリフューズ回数は減少傾向
・分娩後にける体重の落ち込みが大きくなった
分娩後の体重減少は、繁殖成績と密接にかかわっており、繁殖成績を低下させないためには分娩後の体重減少を少なくすること、体重回復を早くすることが良いという事が分かっています。
今回の結果は、配合飼料でエネルギーを供給することで産乳量は多くなりましたが、DMIが追い付かず、負のエネルギーバランスとなり体重が減少したのでは?と考えました。
【設定変更②】
そこで、次は、泌乳期連動テーブルと乳量連動テーブルを切り替えるタイミングを牛の個体能力に合わせるため、分娩後10日に切り替える設定に変更しました。
結果は、
・分娩後60日に給餌設定を切り替えた時より乳量は少なく、分娩後40日に給餌設定を切り替えた時より多く推移
・リフューズ回数の極端な増加は認められず、分娩後60日設定と同程度
・体重減少が緩やかになった
分娩後40日、60日、10日で給餌設定を切り替えた時の繁殖成績を確認すると、平均AI回数、授精回数3回以上の割合、初回受胎率、初回AI開始日数は、すべて分娩後40日設定>10日設定>60日設定の順で良好な成績となっていました。
乳量と繁殖成績の結果から、ノーサンファームでは泌乳期連動テーブルと乳量連動テーブルの切り替わり時期は、分娩後10日設定を継続して選択しています。
各農場によって、様々な目標や方針があると思いますが、今回の結果から搾乳ロボットの給餌設定を変更すると、牛群の行動や生産性、繁殖などに影響を与えることを再認識しました。
これからも、最適な給餌設定を模索していきたいです。
