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タイセイ飼料株式会社

酪農/搾乳回数の応用事例~初産牛編~

皆さんこんにちは。

前回は、ノーサンファームで実施したトライアルとして、経産牛の搾乳設定を変更することで搾乳回数と個体乳量が増加した事例を紹介しました。多回搾乳をすると、乳房内圧の低下や乳腺細胞の分化促進、乳汁合成抑制因子の除去などにより乳量が増加するといわれています。
では、初産牛における多回搾乳は、経産牛と比較してどのくらいの効果があるでしょうか。

過去の報告では、分娩後301日までの乳量比較で、3回搾乳をした牛は2回搾乳をした牛より、経産牛は18.5%、初産牛は25.2%の乳量増加が認められています(H.E.Amosら、1985)。
このことから、初産牛でも生産能力を高めるためには、経産牛と同様に多回搾乳は有効なことが分かります。特に、搾乳牛を搾乳ロボットで飼養管理している場合は、牛が自発的に多回搾乳を行い、作業負担を抑えながら個体乳量を伸ばすことが可能です。
一方で、初産牛の搾乳回数は分娩後178日まで、経産牛よりも少ないことも報告されており(J.M.Siewertら、2018)、自由に搾乳ロボットに訪問できる状態にしていても、牛が自発的にロボットへ訪問するには時間を要することが考えられます。

実際に、ノーサンファームで管理している牛も自発的な搾乳ロボットの訪問に時間を要す牛が一定数います。
そこで、初産牛がロボットに入らないのならば、人為的にロボットへの追い込み回数を増やしてみようと考え、分娩後5~30日の間、1日2回(8:00と16:00)の通常追い込み作業に加え、13:00に1回追い込み作業を増やしてみました。

結果
追い込み回数を変えなかった牛(追込2回牛)は分娩後30日までの平均乳量が22.2㎏であったのに対し、追い込み回数を増やした牛(追込3回牛)は26.8㎏と、追い込み回数の増加により4.6㎏の平均乳量の増加が認められました。
分娩後31~305日の間の乳量推移でも、追込2回牛の平均乳量は24.9㎏であったのに対し、追込3回牛は33.6㎏と追い込み回数の増加により平均乳量は8.7㎏増加しており、ノーサンファームの初産牛でもH.E.Amosらの報告の通り、追い込み回数を増やすことで平均乳量の増加が認められました。
分娩後31~305日間の平均搾乳回数も追込3回牛の方が追込2回牛に比べ、0.6回多かったことから、分娩後30日間、追い込み回数を増やしたことで、初産牛のロボットへの慣れも早くなり、自発的なロボット訪問を促したものと推察されました。

酪農/搾乳回数の応用事例~初産牛編~

乳成分については、分娩後10~60日の間、10日毎に乳脂肪、乳蛋白、乳糖、MUN、BHBA、体細胞数を評価しました。
乳蛋白、乳糖、MUN、BHBAは追込3回牛と、追込2回牛との間に有意な差はありませんでした。体細胞数は、追込3回牛の方が多く推移していました。体細胞数は、搾乳後4時間程度は搾乳刺激により高くなり、搾乳後6時間後には低くなる傾向があると言われています。今回のトライアルでは、分娩後5~30日まで追い込み回数を増やしましたが、ノーサンファームの作業上、追い込み間隔が5時間、3時間、16時間の設定となり、搾乳間隔が3、5時間と6時間を下回っていました。そのため、追い込み期間中の体細胞数が上昇したこと考えられました。

酪農/搾乳回数の応用事例~初産牛編~

以上のことから、初産牛の追い込み回数を増やすことで、乳量増加につながるものの、乳質とのバランスを考えると、6時間以上のインターバルを設けて追い込みをする必要があると考えられます。
今回のトライアルでは、初産牛を人為的にロボットへ追い込み3回搾乳をしましたが、私の理想は初産牛が自らロボットへ訪問をすることだと考えています。牛を自発的に訪問させるためには、他にもできることがあるのではないかと思っており、引き続きチャレンジを続けていきます。