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タイセイ飼料株式会社

酪農/搾乳ロボット(Lely)の搾乳・給餌設定を確認する方法

皆さんは、搾乳ロボットの設定を見たことがありますか?
※Lely A5の搾乳ロボットの設定の説明となります。

搾乳ロボットの設定を活用されている方も多いかもしれませんが今回はKPIに続き、搾乳ロボットの設定を確認する方法を説明したいと思います。搾乳ロボットの設定には、ブラシの回転時間やライナーの着脱のタイミング、洗浄、搾乳回数、給餌など様々な設定があります。

これらの設定は、★の「管理」をクリックすると、搾乳、給餌、繁殖、健康管理、セパレーションなど詳細な設定を確認できます。
今回は、搾乳と給餌の設定を重点的に紹介したいと思います。

酪農/搾乳ロボット(Lely)の搾乳・給餌設定を確認する方法

1.搾乳のカテゴリーにある項目について

酪農/搾乳ロボット(Lely)の搾乳・給餌設定を確認する方法

■搾乳概要
搾乳概要には、初乳期間の日数や設定したグループのミルク送り先、ミルク分離時の送り先、シャトルサンプラーを用いて生乳をサンプリングする方法などが設定できます。

・初乳期間の日数
初乳が出荷停止のときに、ミルク分離の期間を自動設定する項目
経産牛、初産牛、トレーニングなどのグループに属している牛について、通常時のミルク送り先(バルクor下水orM4USE)、分離時のミルク送り先、初乳でミルクを分離する際のミルク送り先を設定できる項目

私は給与試験で乳成分の変化を調査するときに、サンプリング方法を毎回の搾乳時や、1回の搾乳時のみにするなど、必要に応じてカスタムすることがあります。

■搾乳開始
ブラシで洗浄する秒数を設定できます。
こちらの項目はノーサンファームではデフォルト設定の4秒にしています。
フリータイムには余裕があるので、今後、ブラシで洗浄する秒数を長くしたら、乳質が向上するのか調査してみたいと思っています。

■搾乳中
搾乳機器の真空圧やパルセーション回数、離脱タイミングなどを設定できます。
ちなみに、プレトリートメントオプティマイザー(PTO)という、牛ごとの搾乳状態をロボットが測定し、搾乳時の泌乳量が増加する際に低下してしまうバイモダリティを検知した際に、分房ごとにブラシの回数や秒数を自動で調節してくれる機能がリリースされているようです。

■搾乳終了
ディッピングの噴射秒数やシャトルサンプラーでのサンプリング有無、搾乳後の洗浄方法、優先給餌(搾乳後もロボットから配合を出す機能)の有無が設定できます。

■誘導牛
搾乳可能牛リストに挙げる条件を設定できます。
搾乳可能牛リストに挙がるのは、搾乳失敗牛や「今すぐ搾乳」で設定した牛、また「誘導牛」で設定した牛です。「誘導牛」の推奨設定は、

→最後の搾乳から12時間以上経過した牛

→最後の搾乳から7~12時間経過した牛のうち、
・泌乳日数が60日以下の場合、平均搾乳回数が2.5回以下の牛
・泌乳日数が60日~乾乳前15日以上の場合、平均搾乳回数が1.6回以下の牛
・乾乳前14日以下の場合、平均搾乳回数が1.4回以下の牛

となっています。

■搾乳回数
搾乳している牛の搾乳設定をグループ毎に設定できます。
搾乳回数については、今後のコラムで詳細に説明しますので、今回は割愛します。

■価格
乳価や粗飼料の価格、乳脂肪の価格、乳タンパク質の価格を設定できます。
牛1頭当たりの収入の情報を有効に活用したい場合には、価格の入力が必要となるそうです。

■バルクタンク
バルク乳の乳脂肪率、乳タンパク質率、乳糖率、体細胞数、遊離脂肪酸の登録ができます。
ここで情報を登録するとロボットによる正確な脂肪とタンパク質の測定が可能になり、PCで表示される乳脂肪率や乳タンパク率がより精度の高いデータになります。

■ミルクサンプリング
個体の乳成績と乳成分(乳量、乳脂肪率、乳タンパク質率、体細胞数、乳糖率)が登録できます。
こちらも、ロボットで正確な乳成分を測定できるようにするために行います。
ホルスタイン一択!という酪農家さんの場合、バルクタンクとミルクサンプリングのデータでは精度が同じと言われているので、この項目にデータを入力しなくても、精度は変わりませんが、様々な品種を飼っている場合、こちらに情報を入力した方が精度は高まるとされています。

2.給餌のカテゴリーにある項目について

酪農/搾乳ロボット(Lely)の搾乳・給餌設定を確認する方法

■給餌テーブル
給餌設定を経産牛や初産牛、トレーニングなどのグループ毎に設定できます。
給餌設定については、今後のコラムで詳細に説明しますので、こちらも今回は割愛します。

■給餌タイプ
1.最低訪問回数(㎏):
搾乳ロボットのアストロノートA5では、搾乳回数の設定で給餌量も制御されているため、この項目は、フィードステーション(COSMIX)を使用している場合のみ設定する項目になります。牛がCOSMIXに訪問した時にこの値を下回っていると、給餌されません。

もう少し、丁寧に説明すると、COSMIXでは、設定した給餌量を時間当たりで積算して給餌しています。
例えば、6㎏給餌する牛の場合、6㎏÷24時間=0.25㎏/時間のスピードで積算します。
最低訪問回数を2㎏に設定した場合、2㎏÷0.25㎏/時間=8時間となり、8時間を経過しないとCOSMIXに訪問しても給餌されないということになります。

2.給餌スピード(g/分)
牛に配合飼料を給与する際に1分間で給餌される配合飼料の量です。
ここの値を大きくすることで、1分間に給与する配合飼料の量が多くなります。
ノーサンファームでは、全頭に「泌乳スピードに応じた給餌」と「優先給餌」を設定しているため、デフォルト設定にしています。

3.最大訪問量(㎏)
1回の訪問(搾乳)でロボットから給餌される配合飼料の最大量です。
最大訪問量を多く設定しすぎると、搾乳時間内に牛が配合飼料を食べきれない可能性があるので、注意が必要です。

4.最大持ち越し量(%)
次の日に持ち越せる配合飼料の最大量の割合です。

※例
最大持ち越し量が50%と設定、配合飼料が10㎏と設定されていた場合、
10㎏÷50%=5㎏まで次の日に持ち越すことが可能です。

5.最大増量or減量(㎏/日)
1日に自動で増減する配合飼料の量です。

6.泌乳スピードに応じて給餌スピードを変更
泌乳スピードが速い牛は、搾乳ロボットの滞在時間が短く、泌乳スピードが遅い牛は搾乳ロボットの滞在時間が長くなります。滞在時間が短い牛に対し、通常の給餌スピードで給餌してしまうと、設定した配合飼料を牛が食べられない可能性が高くなります。そのため、牛の泌乳スピードに応じて給餌スピードも自動で変更させることができます。

7.1日の一時的な増量/減量(㎏)
「5」の最大増量/減量の設定を無視して配合飼料の給与量を変更することができる項目になります。
この項目を「5」よりも多く設定すると、急激な配合飼料の増給となり、牛に悪影響を及ぼす可能性があるため、Lelyは設定することを推奨していません。

■給餌アテンション
残飼量が多い時にレポートの18「給餌-残飼量」にリストアップするための条件を設定できます。
Lelyのデフォルト設定では、残飼率は10%、残飼料は0.5㎏に設定されています。

■飼料
給与する飼料の名前や給餌タイプの数、エサの種類(粗飼料or 濃厚飼料など)、乾物量(%)や単価を登録できます。

■固定給餌
通常、泌乳期や乳量に応じて給餌量は自動で決められていますが、牛ごとに給餌する配合飼料の給与量を変動させない給餌設定である固定給餌というものがあります。
ここでは、固定給餌として配合飼料を給与する量や実施する期間の設定が手動で設定できます。
ノーサンファームでも基本的には自動給餌に設定していますが、配合飼料の量を意図的に調節したい場合に活用しています。

次のコラムでは、搾乳ロボットの設定を変更した事例や搾乳ロボットを用いたトライアルの結果を紹介していきたいと思います。