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タイセイ飼料株式会社

酪農コラム /「炭水化物~繊維と乳牛の健康」(1)

炭水化物(1) : 繊維と乳牛の健康
バタズ ケサブ農学博士
日本農産工業株式会社 畜産技術センター(茨城県つくば市)

はじめに
 自然界において水に次いで豊富に存在する栄養素は炭水化物です。通常、搾乳牛用の飼料の大部分を炭水化物が占めており、特に高泌乳牛が必要とするエネルギーの70~80%は炭水化物によって牛の口に入ります。しかし、牛は体に炭水化物を貯めこむこができないため、牛が消化し代謝できるようコンスタントに供給され続ける必要があります。

酪農コラム /「炭水化物~繊維と乳牛の健康」(1)

 植物は光合成をして炭水化物を作り、糖やデンプンの形で葉や種子や塊茎(イモなど)にエネルギー源として保存します。光合成で作られた単糖(グルコース)はヘミセルロース、セルロース、リグニンといった複雑な炭水化物に組み込まれます。細胞壁がリグニン化していくと植物の葉や茎は頑丈になりますが、その植物を食べる動物にとっては利用率が低下していくことになります。細胞壁がどのくらいリグニン化するかには日照と地理的条件が影響します。一般に、熱帯の植物は温帯の植物よりもリグニン化しています。グルコースはセルロースの構成要素であるのと同時にデンプンの構成要素でもあります。

1. 二酸化炭素+水 →(日照) →グルコース+酸素
2. グルコース+グルコース →(α結合) →デンプン
3. グルコース+グルコース →(β結合) →セルロース

 様々な炭水化物の総エネルギー(kcal/g)はほぼ同じです(デンプン(4.23)、トウモロコシの実(4.43)、えん麦ワラ(4.43)、ライグラス(4.54))。

酪農コラム /「炭水化物~繊維と乳牛の健康」(1)

 炭水化物はその利用性によって様々な方式で分類されています。例えば、に示すような繊維(細胞壁)と非センイ(細胞内容物)、そのほかにも溶解性と非溶解性センイ分画、有効と非有効センイ分画などの分類が提示されています。繊維の分析はこの150年間にわたって進歩を続けてきました。1850年代に粗繊維の分析方法(ドイツ)、1960年代にデタージェント法(アメリカ)、1970年代に細胞壁分画であるOCC、OCW(日本)が考え出され、炭水化物分画をより精確に把握しようとする進歩は現在も続いています。

 ペクチンは細胞壁に含まれていますが、ペクチン自身は溶解性であることから、非繊維分画に含められます。細胞壁も細胞内容物も消化されると反芻動物の主要なエネルギー源として利用されます。

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